脳卒中
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症例報告
左房粘液腫に伴った脳梗塞にtPA治療を行った1例
西村 裕之中嶋 匡浮田 透辻 雅夫三宅 裕治大村 武久立花 久大
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2010 年 32 巻 2 号 p. 156-162

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抄録

症例は72歳,男性.200X年某日午前11時半頃テニスの休憩中にベンチで崩れるように倒れ意識を失い,12時10分当院に救急搬送され入院した.入院時JCS I-1,構音障害,左半側空間無視,病態失認を認めた.右への共同偏視,左同名性半盲,左中枢性顔面神経麻痺を認めた.深部腱反射は左上下肢にて亢進し,Chaddock,Babinski反射陽性であった.左片麻痺(上肢0/5,下肢1/5),左側表在感覚鈍麻を認めた.頭部CTでは島皮質に淡い低吸収域を認め,ASPECTS 6点であったが,家族の希望があったためtPA投与を行った(発症後100分で開始).投与30分後に左下肢筋力は1–2/5になった.入院日に行った心エコーで左房粘液腫と診断し,後日他院にて腫瘍が摘出され病理学的に確認された.これまで左房粘液腫による脳梗塞に対しtPA治療を行った症例は少数であるため,文献的考察を加え報告した.

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© 2010 日本脳卒中学会
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