脳卒中
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短報
左内頸動脈起始部狭窄に伴う進行性脳梗塞の症状がアルガトロバンの7日間持続点滴静注で著明に改善した1例
菊井 祥二澤 信宏西脇 知永
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2010 年 32 巻 5 号 p. 482-485

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抄録
症例は61歳男性で一過性の運動性失語で発症し入院した.入院時,症状は消失し,頭部CTおよびMRI拡散強調画像で急性期病変はみられなかったので一過性脳虚血性発作と診断した.ABCD2スコアが5点で,頭頸部MRAで左内頸動脈起始部に重度の狭窄が認められたので,アルガトロバン60 mg/日の持続点滴静注とエダラボンの点滴(30 mg × 2回/日)を開始した.発症2時間後から運動性失語が再発し,徐々に症状は進行し,約50時間後にJapan coma scale III-100になり,眼球は左に偏位し,右完全麻痺に至った.左中大脳動脈領域全体が虚血に陥っていると考えられたが,頭部CTは入院時と比較して変化はみられなかった.Clinical-diffusion mismatchが大きいと判断し,第3病日からもアルガトロバン60 mg/日の持続点滴静注をさらに5日間継続し,臨床症状の著明な改善がみられた.症例を選んでアルガトロバン持続点滴静注を施行することは脳梗塞治療の選択肢の幅を拡げる可能性があると考えられた.
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© 2010 日本脳卒中学会
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