脳卒中
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原著
頚動脈near occlusionの病態─CEA摘出標本を用いた病理学的所見による検討
佐野 徳隆吉田 和道井上 勝美定政 信猛鳴海 治沈 正樹山形 専
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2011 年 33 巻 1 号 p. 45-51

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抄録
【目的】Near occlusion(NO)とは内頚動脈高度狭窄に伴い末梢への血流が著しく低下し,血管の虚脱を来している状態である.本研究ではCEA摘出標本を基にNOの病態について検討した.【方法】過去4年間に当院でCEAを行った症例のうち,DSA上の狭窄率が85%以上である連続38例を対象とした.一塊に摘出したプラークを用い,特殊染色も併用して狭窄部位の内腔を中心に詳細な病理学的検討を行った.【結果】血管撮影上のNOでは,病理所見上急性閉塞性血栓内にわずかに不規則な内腔が保たれている,もしくは多蜂巣状の新生血管が存在する例が18例中11例(61%)にみられたが,non-NOでは20例中1例(5%)に認めるのみであった.【結論】線維性被膜の破綻に続発した,急性閉塞性血栓内の不規則な内腔や蜂巣状の新生血管による末梢の著しい灌流圧の低下が,血管造影上のNOと関連している可能性がある.
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© 2011 日本脳卒中学会
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