抄録
要旨:症例は52歳男性.突然の呂律困難と歩きにくさを自覚し発症より5時間で当院に救急搬送された.来院時,傾眠,構音障害,両上下肢の運動失調がみられ,頭部MRIで両小脳半球,右海馬,両後頭葉の脳梗塞,頭部MRAで脳底動脈閉塞がみとめられた.内科的治療を開始するも,入院2時間後に昏迷と四肢麻痺を呈したため,緊急脳血管内血行再建術を実施した.脳血管撮影では右椎骨動脈の完全閉塞,左椎骨動脈(V4)の90%狭窄病変,脳底動脈先端部の血栓をみとめた.左V4狭窄病変に対する経皮的脳血管形成術のみで,脳底動脈先端部の血栓が消失したため手術を終了した.術後経過は良好であり歩行可能なレベルにまで改善し,第30病日に転院した.本例では,近位狭窄の解除による血流の改善効果のみで遠位部血栓をwashoutできた.塞栓子より近位部に高度狭窄を伴うtandem lesionの血行再建術について示唆に富む1例であり報告する.