2013 年 35 巻 1 号 p. 30-35
要旨:両側被殻出血を発症した結節性多発動脈炎の1例を経験したので報告する.症例は74歳男性.発熱と高CRP血症と間質性肺炎を認め,血管炎を疑うもののELISA法でのANCA,組織所見ともに陰性であり無投薬にて経過観察となっていた.経過中,構音障害,右口角下垂が突然出現し,頭部CTにて両側被殻出血を認め当科入院となった.血管炎による脳出血と考えステロイド治療を開始したが,脳出血の増悪を来し,間質性肺炎の増悪にて死亡した.穿通枝領域の脳出血であったが,病理解剖では中動脈レベルでの血管炎所見を中心に認め,結節性多発動脈炎であると病理診断した.