抄録
要旨:耐糖能異常(IGT)は,糖尿病へ移行する可能性のあるハイリスク群であり,糖尿病のみならずIGTを含む糖代謝異常は,脳梗塞発症の危険因子である.脳梗塞患者において糖尿病が未診断とされているにも関わらず,糖負荷試験を行うことにより新規糖代謝異常とインスリン抵抗性が高率に診断される.糖尿病患者の血糖コントロールによる脳卒中発症および再発予防については十分な科学的根拠がないことが現状である.糖代謝異常を合併した脳梗塞患者において,動脈硬化進展抑制を目的としたインスリン抵抗性や食後高血糖の改善を図る薬剤の介入は,脳梗塞再発予防の治療法における選択肢の一つである.また,新規糖尿病治療薬でglucagon-like peptide-1受容体作動薬のexendin-4は,酸化ストレスや炎症反応を抑制し,細胞保護作用を有する分子の合成を増加させることにより,脳保護作用を発揮する.