抄録
要旨:症例は糖尿病のない90 歳女性で,急性発症した右半身の舞踏運動が1 カ月の経過で増悪した.発症4 週後の頭部MRI では新規病変を認めなかったが,6 週後の頭部MRI で左放線冠に新規梗塞,隣接する左被殻後部にT1 強調画像高信号を認めた.MRA では主幹動脈に高度狭窄を認めなかった.舞踏運動はハロペリドール内服にて改善した.高血糖に線条体のT1 強調画像高信号を伴って片側舞踏病を生じる病態は糖尿病性片側舞踏病として知られているが,本症例は糖尿病非合併例で,片側舞踏運動の発現より遅れて対側被殻・放線冠のMRI信号変化が出現した.線条体のT1 強調画像高信号は外側レンズ核線条体動脈領域の不完全な虚血によって生じたと考えられ,高信号の程度とその大きさは舞踏運動の程度と密接な相関はないことが示唆された.