脳卒中
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症例報告
脳室炎・細菌性髄膜炎が診断の契機となった卵円孔開存の関連するplatypnea orthodeoxia syndrome の1 例
芳賀 智顕村元 恵美子
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2014 年 36 巻 2 号 p. 71-75

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抄録

要旨:患者は78 歳男性.脳室炎・細菌性髄膜炎のため入院となったが,座位にてチアノーゼを認めた.臥位ではSPO2 90%以上を維持できるものの,座位になると呼吸苦は認めないがSPO2 60%まで低下した.精査の結果,過延長・拡張した上行大動脈によって心臓が圧排され卵円孔が開口していた.そして,座位において上行大動脈による圧排が増強すると卵円孔が開大,右-左シャントが増加してSPO2 は低下した.このため,卵円孔開存によるplatypnea orthodeoxia syndrome(POS)と診断した.そして,脳室炎・細菌性髄膜炎の感染経路として卵円孔開存が疑われた.また,73 歳時に発症した後大脳動脈塞栓症は,卵円孔開存の関与する奇異性脳塞栓症の可能性が疑われた.今回,脳室炎・細菌性髄膜炎が診断の契機となった卵円孔開存の関連するPOS を経験したので報告する.

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© 2014 日本脳卒中学会
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