2014 年 36 巻 2 号 p. 85-89
要旨:福岡脳卒中データベース(Fukuoka Stroke Registry; FSR)は,発症7 日以内の脳卒中患者の臨床情報,血漿,ゲノムを収集するとともに退院後の予後調査を行う疾患コホート研究である.本研究では急性期脳卒中患者の発症登録による病態分析と要因解明を行うとともに治療成果の評価につながる研究を行い,本邦における脳卒中医療の基盤となるエビデンスを構築することを目的としている.これまでに,脳梗塞急性期の病態解明や再発を含めた予後の解析を行い,その成果を報告してきた.また,FSR のサブスタディーとして脳梗塞のバイオマーカー探索研究を行い,脳梗塞の病態解明に有用なバイオマーカーを発見している.これらのバイオマーカーの機能を動物実験や培養細胞を用いて解析することで,脳梗塞の病態解明につながる知見も得ており,臨床研究と基礎研究を融合することで,脳卒中に関する新たなエビデンスを構築したい.