抄録
要旨:症例は64 歳の男性,意識障害にて搬送され,救急外来にて左後大脳動脈領域に急性期脳梗塞を認め,左心室壁運動障害を合併していた.入院し抗凝固療法を速やかに施行した.しかし第7病日に左心室内血栓を形成,抗凝固療法を強化したが,第19 病日に左中大脳動脈領域に広範な脳梗塞を再発した.フォローアップの経胸壁心エコーでは壁運動は改善し血栓は消失していた.入院時に急性期脳梗塞およびたこつぼ型心筋症疑いを併発し,抗凝固療法中に心室内血栓を形成し脳塞栓を再発した症例はこれまでに報告がない.急性期脳梗塞にたこつぼ型心筋症の合併が疑われた場合に脳塞栓症発症のリスクがあること,その的確な予防的治療法の確立が必要と考えられた.