脳卒中
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原著
初診時に末梢性めまいと診断された小脳梗塞に関する検討
中島 正之初田 直樹松尾 宏俊丁 剛谷本 匡浩立川 弘孝
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2017 年 39 巻 4 号 p. 254-260

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抄録

【はじめに】末梢性めまいと中枢性めまいの鑑別の重要性は古くより強調されているが,必ずしも容易ではない.当院で経験した50 例の小脳梗塞の臨床像を分析し検討を行った.【方法】2009年2 月から2015 年4 月に当院脳神経外科および神経内科にて入院治療を行った連続50 例の小脳梗塞の患者を後方視的に検討を行った.【結果】男性33 人,女性17 人.年齢は44 歳から95 歳であった(70.6±13.4 歳).救急受診が全体の90%であった.救急での初診時,小脳梗塞の診断に至らず,末梢性めまいと診断されたのは11 人(22%)であった.初診時に小脳梗塞の診断に至らなかった症例の多くが発症早期に受診しており,画像検査においては有意にCT 検査のみを施行されていた.【結語】中枢性めまいと末梢性めまいの鑑別は必ずしも容易ではない.早期に撮影したCT やMRI では偽陰性となるものが含まれることに注意を要し,めまい診断においては四肢の失調に加えて,座位維持が可能かなど体幹失調の有無を含めた注意深い神経学的診察と,必要に応じたMRI 検査が重要である.

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© 2017 日本脳卒中学会
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