2020 年 42 巻 1 号 p. 1-7
要旨:【背景および目的】脳梗塞急性期の脳血栓回収療法の有効性が示され,血栓回収機器の進歩に伴い再開通率が改善した現在,発症から再開通までの時間が治療予後を大きく左右する.当院での患者来院から手術開始までの時間短縮の取り組み強化とその課題について報告する.【方法】2015 年1 月~2017 年12 月に治療した86 症例のうち,2015 年1 月から12 月までの30 症例を前期群,2016 年1 月の取り組み強化以降の56 症例を後期群とし,各所要時間および治療予後を後方視的に比較検討した.【結果】発症からの各所要時間については来院から脳血栓回収療法開始までの時間が有意に短縮された.TICI2B/3 の再開通率および再開通症例の退院時mRS 0–2 の割合は2 群間で有意差を認めなかった.【結論】院内体制強化で患者来院から手術開始までの時間が有意に短縮された.治療成績改善のために更なる時間短縮と体制強化が必要である.