2023 年 45 巻 1 号 p. 8-15
【背景および目的】COVID-19は脳卒中と関連するとされる.今回,COVID-19に脳卒中を合併した症例とその他の症例を比較し,その特徴について検討した.【方法】2020年3月から2021年9月にCOVID-19で入院した1,101例について,臨床所見,入院時の血液検査所見,転帰について後方視的に検討した.【結果】8例の虚血性脳卒中,1例の脳内出血を認めた.脳卒中群では,非脳卒中群に比し有意に高齢で,高血圧,糖尿病,慢性腎不全の既往を有していた.COVID-19の重症度と有意に相関し,死亡率も高かった.血液検査では炎症反応,Dダイマーが有意に高値であった.【結論】COVID-19に脳卒中を合併した症例の特徴を検討し,発症危険因子についても検討した.脳卒中を予防し,適切に診断し,積極的な治療介入を行う体制を構築することが今後の課題である.