2023 年 45 巻 2 号 p. 167-174
症例は37歳男性.父に深部静脈血栓症の既往あり.数分間の全身痙攣があったが自然に軽快し,自宅で様子をみていた.翌日前頭部痛が出現後,強直間代性痙攣を繰り返し当院に搬送された.痙攣のコントロールが不良であり,全身麻酔を導入した.頭部CTで上矢状静脈洞血栓を認めたため,ヘパリン持続静注を開始後,ワルファリン内服を開始した.ワルファリン開始後Dダイマーが急激に上昇し,肺塞栓症を発症した.ヘパリン3000単位を急速静注し,ワルファリンを漸増したところ血栓は消退し,後遺症なく退院した.プロテインC活性が38%と低値であり,遺伝子検査ではエクソン7 c.631C>T, p.Arg211Trp変異を認めた.プロテインC欠乏症では,ワルファリン導入初期に血栓症が増悪することがある.脳静脈洞血栓症にワルファリンを導入する初期には,頻回なDダイマー測定が考慮される.