2026 年 48 巻 4 号 p. 163-169
小児期脳腫瘍に対する放射線治療後には,大血管病変と小血管病変が複合して進行する放射線誘発性脳血管障害を生じ,長期経過後に脳卒中を発症することがある.今回,8歳時に松果体germinomaに対し60 Gyの全脳照射を受け,20年後からラクナ梗塞を反復し,脳出血および内頚動脈瘤形成を呈した51歳男性を経験した.画像では主幹動脈狭窄,動脈瘤,白質病変,脳萎縮,多発性cerebral microbleedsを認め,40年以上経過しても進行性の血管障害が持続していた.既報では高線量照射や再照射が発症リスクを増大させ,microbleedsの累積は脳卒中の独立した予測因子とされる.本症例は放射線誘発性血管障害の自然史を超長期に示す稀な例であり,サバイバー医療における生涯フォローの重要性が示唆された.