脳卒中
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急性期高血圧性脳出血例における降圧限界
脳循環動態の面よりの検討
金子 尚二澤田 徹栗山 良紘新美 次男成冨 博章
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1988 年 10 巻 2 号 p. 111-117

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抄録
脳循環動態の面より降圧限界を知る目的で, 高血圧脳出血急性期例 (13例) を対象として頭部挙上およびtrimetaphan camsilate微量注入により段階的に降圧し, 以下の検討を行った.血圧は観血的かつ連続的に測定し, 血圧降下に伴う脳血流変化率は脳動静脈血酸素含量較差より求めた.結果 : 1) 脳出血急性期における自動調節能血圧下限値 (以下 : 下限値) は, 発症前に比しより上方へ偏位している可能性が示唆された.2) trimetaphan camsilateによる降圧では, 血圧下限値が急性期平均動脈圧の約80%に位置していた.3) 脳出血急性期の血圧下限値は, 発症前平均動脈血圧値にほぼ一致していた.4) 再検可能であった2症例中1例は急性期に比し下限値の左方偏位が, また, 急性期にdysautoregluation patternを示した他1例では, 慢性期にautoregulatory rangeが認められた.以上より, 脳出血急性期の降圧は発症後平均動脈血圧値の20%以内が安全であり, 発症前平均動脈血圧値以下の降圧は危険であると考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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