1988 年 10 巻 3 号 p. 227-231
頸動脈内膜剥離術後, 再狭窄をきたした症例の免疫組織化学的所見を報告する.症例は59歳女性で, 初回内膜剥離術後2年6ヵ月して再狭窄をきたし, 病変の前後で静脈バイパスを行い狭窄部を摘出した.摘出標本は白色で光沢のある内皮面を示し, 内皮細胞の欠損や内膜の潰瘍などはみられなかった。顕微鏡的には紡錘状細胞の増殖が中膜から内膜に向かって認められ, 免疫組織化学的染色で多くの平滑筋特異性actinを含むことから, これら紡錘状細胞は中膜平滑筋細胞の遊走と増殖によると判断された.これらの知見は動脈硬化の成因としての平滑筋細胞の関与を支持するものと思われる.