1988 年 10 巻 3 号 p. 259-269
超電導MRIによるモヤモヤ病の血管病変の描出能について検討した.まずMRI所見と脳血管撮影所見との比較では, 主幹動脈の狭窄所見について, MRIにおける狭窄所見の有無と脳血管撮影における血管径の間に高い相関が認められた.また基底核部のモヤモヤ血管像の描出についても両者の間に相関がみられ, MRIが本疾患の血管病変の程度を十分に評価し得ると思われた.次に高速スキャン法では, 血流速度の速い脳主幹動脈が高信号となり “血管強調画像” が得られるが, 本疾患ではWillis動脈輪の各動脈の狭窄所見が, 通常の撮像法に比し, より明瞭に描出された.またモヤモヤ血管の描出については, 特に脳底槽内において, モヤモヤ血管と思われる所見が明瞭に認められた.以上より超電導MRIによって本疾患の血管病変を無侵襲に評価することができ, 本疾患のscreeningやfollow-upに有用であることが確認された.