脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
「真の」後交通動脈瘤の1例
岡田 達也松田 昌之
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 10 巻 3 号 p. 270-274

詳細
抄録

一般に後交通動脈瘤といえば, ほとんどが「いわゆる」内頸動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤を指しており, 後交通動脈自体から発生した「真の」動脈瘤は稀である.我々は最近, くも膜下出血によって発症した「真の」後交通動脈瘤の1症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.
症例は40歳の女性で, 激しい頭痛と嘔吐を主訴として某病院に搬入され, CTでくも膜下出血と診断された.当科での発作の翌日に行った右内頸動脈撮影で後交通動脈自体から発生している嚢状動脈瘤を認め, 同日, 右前頭側頭開頭によりネッククリッピングを行った.動脈瘤は脳血管撮影で認められた如く, 内頸動脈-後交通動脈分岐部より約3mm遠位で後交通動脈本幹に頸部を持っており, その発生部位に穿通枝は認められなかった.ネッククリッピングは容易であり, 術後も障害を残さずに発症から29日目に退院となった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top