脳卒中
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直達手術未施行のクモ膜下出血患者110例の検討
小笠原 英敬〓川 哲二山本 光生上家 和子門田 秀二
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1988 年 10 巻 4 号 p. 319-325

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抄録

破裂脳動脈瘤に対する直達手術未施行のクモ膜下出血症例110例を, 直達手術施行症例255例と比較し, 頻度, 性差, 入院時clinical grade, 神経放射線学的所見, 直達手術未施行の理由, 発症6ヵ月後のADL, 死因, 長期追跡調査について検討した.また直達手術未施行群を, 59歳以下, 60~69歳, 70歳以上の3群に分類し, 年齢による特徴をも検討した.非手術群の平均年齢は62.9歳で, 手術群の57.2歳より高く, 入院時clinical gradeIV, Vは前者で58%, 後者で15%と非手術群に重症例が多かった.非手術群では, computerized tomography上クモ膜下出血量が多く, 脳室内血腫の合併率も高かった.直達手術未施行の理由は, いずれの年齢層でもclinical grade不良が第1位で, 次いで再出血, 合併症などであった.非手術群の発症6カ月後の死亡率は77%と, 非常に予後不良であった.しかし, 出血源不明のために手術を施行しなかった症例は, 14例中13例が社会復帰しており, 予後良好であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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