脳卒中
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Progressive subcortical vascular encephalopathy (Binswanger型) における脳の動脈系の病理学的研究
山之内 博朝長 正徳吉村 正博豊倉 康夫
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1988 年 10 巻 5 号 p. 404-411

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抄録
Progressive subcortical vascular encephalopathy (PSVE) の22例 (平均年齢81歳) の脳の動脈系を系統的に検索し, 同年代の脳梗塞例, 脳出血例と比較検討した.1) PSVEではACA, MCA, PCAの3枝狭窄型を示すものが多い (60%).2) 軟膜動脈あるいは大脳皮質内の白質枝本幹が50%以上の狭窄を示すものはPSVEの20~30%にみられたが, 脳梗塞や脳出血例ではこれらの動脈に高度狭窄を示したものはほとんどなかった.3) 白質内細動脈の硝子様変化とそれに伴う50%以上の狭窄例はPSVEの60%に, 脳出血の40%にみられた.4) PSVEの3/4の例では, 入院中, 時々収縮期血圧が120mmHg以下を示した.5) 以上の結果より, PSVEの血管系の原因として白質内細動脈のみならず脳底部動脈から白質枝本幹に至る比較的太い動脈の病変の関与が考えられる.また, こうした血管病変を背景に, 血圧低下が一部関与している可能性がある.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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