脳卒中
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脳卒中患者にみられたChilaiditi症候群11例についての検討
小松 修目時 弘文大池 弥三郎金沢 武道小野寺 庚午
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1989 年 11 巻 1 号 p. 46-52

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抄録
昭和50年1月より昭和62年3月までの13年間に当院へ入院した脳卒中患者2,588例中に11例のChilaiditi症候群が認められた.男性7例, 女性4例, 発症時平均66.4±6.6歳であった.発症率は0.43%であり, 一般の集団検診における発症率より高く, 本症候群と脳卒中との関連が示唆された.全例とも特有の症状はみられず, 定期的な胸部X線写真により発見された.消化管の嵌入は一過性の場合が多く, その部位は総て結腸であった.発症の背景として, 全例に片麻痺があり, 頭部CT像および脳波から高度の脳機能障害の存在が推察された.100gGTT正常例は2例のみであった.腹部の合併症は, 胆石症と十二指腸潰瘍があり, 抗コリン剤の使用は2例であった.脳卒中発症から本症候群発症まで平均24.2±10.8ヵ月が経過しており, 長期のリハビリテーション治療を必要とする症例が多かった.成因として, 高度の脳機能障害による横隔膜および腸管の運動異常, および日常生活動作の著明な低下による腸管運動の低下などが考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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