抄録
Transcranial doppler flowmetry (TCD) の使用により頭蓋内外血管吻合術後のbypassからの脳血流動態について検討した.頭蓋内外血管吻合術を施行した19例 (23手術) を対象とした.正常の中大脳動脈の血流とは逆の方向に流れるbypass経由の血流が到達する最深部を分水嶺とした.分水嶺は62%が中大脳動脈において40~50mmの深度で検出された.Bypass経由の血流速は68%が21~40cm/secであり, 分水嶺より深部の中大脳動脈の血流速は77%が21~60cm/secであった.分水嶺の深度, bypass経由の血流速, 分水嶺より深部の中大脳動脈の血流速そして吻合術からTCD検査までの期間の4項目の間には相関は認められなかった.今後, TCDによる分水嶺の臨床的意義をより詳細に評価されることが期待される.