脳卒中
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砂ネズミ脳微小血管内皮細胞の継代培養
培養細胞の膜酵素の染色性に関する検討
皆河 崇志田中 隆一佐々木 修小池 哲雄石井 鐐二
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1989 年 11 巻 1 号 p. 89-95

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抄録
砂ネズミの脳微小血管内皮細胞の継代培養を行ない, 培養細胞の生物学的特性の一部を検索した.Bowmanらの方法を一部改変し砂ネズミの全脳から微小血管をとりだし培養に移し, 細胞が単層敷石状に配列した一つのコロニーのみを選択し, 継代培養を行なった.継代は多くの場合20代程度は可能で, 酵素抗体法による第VIII因子の染色では全ての細胞が陽性であった.また, 一部の細胞ではtube様構造を形成した.alkaline phosphatase (Al-P) とγ-glutamyltranspeptidase (γ-GTP) を組織化学的手法を用いて染色すると, Al-Pは初代培養ではほとんど全ての細胞で陽性であったが, 5代以後ではほとんど陰性になった.γ-GTPは, 初代培養で形成されたコロニーの中心の一部の細胞のみ陽性で, 二代以後では陰性であった.脳微小血管内皮細胞を培養に移した時, その特異な性格の一部は失われる可能性のあることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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