脳卒中
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中大脳動脈閉塞症のCT所見
とくにBinswanger型梗塞の出現について
岩本 俊彦阿部 喜江高木 泰柚木 和太勝沼 英宇
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1989 年 11 巻 2 号 p. 149-154

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抄録

MCA病変による梗塞巣の広がりとその出現頻度を知る目的で, 223例のMCA閉塞あるいは狭窄例を対象として血管撮影所見を4群に分類し, また臨床的に診断された塞栓症と非塞栓症の閉塞機転の相違からCT所見を検討した.すなわち血管撮影所見よりM1, M2閉塞をそれぞれI, II 群, M1, M2狭窄をIII, IV群とすると, 各群は84例, 88例, 31例, 20例であった。またCTにて低吸収域を示したものは199例あり, その所見を梗塞巣の分布によってS+D, S, B, D, WB, D+WB, WM, H typeに分類すると, それぞれ60例, 45例, 18例, 10例, 15例, 47例, 1例, 3例であった.梗塞巣の分布ではS+D type, D+WB typeが多く, その過半数はI群にみられ, 塞栓症を加えるとM1閉塞によるものが各々85%, 77%となった.このうちI群のD+WB typeは非塞栓症でみられ, 一方I群以外の多くはM2の塞栓性閉塞であった.S typeの80%はM2病変 (II・IV群) であり, II~IV群にみられたB typeは, すべて非塞栓症であった.またD typeの60%はI群に, WB typeはI~III群にみられ, 塞栓症は概して少なかった.WM type, H typeは他の血管病変の合併が示された。以上より閉塞機転の相違により非塞栓性M1閉塞ではD+WB type, D type, WB typeが, M2閉塞ではStypeが多かった.しかしMCA髄質枝領域の梗塞であるB typeも少ないながらII~IV群にみられ, 特にM2狭窄で高頻度であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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