脳卒中
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虚血性神経細胞壊死
興奮性アミノ酸とカルシウム
稲村 憲治赫 彰郎
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1989 年 11 巻 5 号 p. 455-468

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抄録
脳神経細胞は虚血により障害を受けるが, その障害は一様ではない.海馬CA1領域は易障害性を示すと同時に障害が遅発性である.虚血障害はまた尾状核, 黒質にも現われる.黒質障害では虚血前血糖値に影響され, 高血糖虚血後に現われる痙攣に関与する可能性がある.虚血による神経細胞障害のメカニズムを考える場合, その原因としてカルシウムの流入が重要と思われ, カルシウムホメオスターシスの崩壊が細胞死の直接的な引き金と考えられる.そこで, カルシウムの流入経路の検討が重要である.また種々の薬剤を用いカルシウムの流入を遮断する試みがなされている.選択的障害の原因として, 神経回路の走行, 特に興奮性グルタメート神経繊維の走行とその受容体の一種であるNMDA受容体の分布は重要である.このNMDA受容体はカルシウムチャンネルを持ちカルシウムの過剰流入を起こす可能性があるからである.また, 最後にカルシウムの過剰流入による細胞内カルシウム蓄積の影響につき考察した.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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