脳卒中
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中大脳動脈閉塞を合併した脳動静脈奇形の1例
長谷川 洋尾藤 昭二小橋 二郎平賀 章寿樋口 真秀
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1989 年 11 巻 5 号 p. 539-543

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抄録
脳動静脈奇形 (AVM) に脳の主幹動脈閉塞が合併することは稀であるが, この合併例の手術は危険であると思われるので報告する.
症例 : 48歳の男性で右麻痺と失語症で発症し, CTにて左脳内血腫を認めた.血管撮影では, 左中大脳動脈の閉塞を認めモヤモヤ血管と左前大脳動脈を介して左frontalにAVMを認めた.開頭を行いnidusを問題なく摘出したが, その後に, 脳の著明な腫脹と突然動脈性出血が一斉に起こり, 止血は全く不可能でそのまま閉頭した.術直後よりbarbital coma therapyを開始し, 5日後再開頭により大きな血腫を摘出した.その後患者の症状は改善し独歩退院した.AVMと同側の主幹脳動脈の合併例ではAVM周辺にモヤモヤ血管のような異常血管が発達し, また周辺脳は虚血状態にあり, AVM摘出の際に生じる急激なhemodynamicsの変化により術中, 術後の出血が起こり易いと考えられるので, 手術の際には特別な配慮が必要である.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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