脳卒中
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脳血管障害発症の生気象学的解析
寺山 靖夫
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1989 年 11 巻 5 号 p. 572-580

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抄録
脳卒中の発症における環境因子の関与を解明する目的で, 人工気候の影響の少ない沖縄県石垣市における昭和57年1月より昭和59年12月までの間に発症した脳卒中患者235例を対象として発症時の気象条件との関連を多変量解析を利用して検討した.脳梗塞153例の回帰分析の結果, 脳梗塞は発症に関し平均気温の変動に伴った周期変動を認めた.さらにこの傾向は高血圧を有するものに一層強く認められた.高血圧性脳出血82例を用いた分析により高血圧性脳出血は高気圧の状況下で湿度の関与は少なく気温はほぼ平年並みであるが, 前日に比し平均気温, 最低気温が低下した日に発症を認め, 発症を予測する有意な判別式 (YH) は, YH=0.008× (平均気圧平年値との差) +0.014× (平均気温平年値との差)-0.002× (相対湿度平年値との差)-0.004× (最高気温前日との差)-0.009× (前日最高気温一当日最低気温)-0.235と与えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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