脳卒中
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非リウマチ性心房細動患者における脳梗塞合併頻度及び合併時期
内藤 滋人今鷹 耕二世古 義規藤井 潤
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1989 年 11 巻 5 号 p. 581-585

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抄録
心房細動発症後いかなる時期に脳梗塞の合併が多いかを調査するため, 洞調律から固定性心房細動への移行を観察し得た非リウマチ性心房細動患者79例 (固定性心房細動群, 平均年齢68.4±10.7歳) につき, 脳梗塞合併頻度及び累積発症率を求め, 年齢, 性別, 基礎疾患, 観察期間を一致させた洞調律例79例 (対照群, 平均年齢66.7±9.0歳) と比較検討した.脳梗塞の合併は固定性心房細動群79例中20例 (25.3%) で, 対照群79例中8例 (10.1%) より有意に多く (p<0.01), 固定性心房細動群では脳梗塞合併の20例中8例 (40%) が心房細動固定後1年以内の合併であった.脳梗塞累積発症率は固定性心房細動群では1年後11.3%, 5年後24.0%, 対照群では1年後1.5%, 5年後3.5%であり, 心房細動発症後5年半後まで固定性心房細動群の方が対照群に比し有意に高かった (p<0.01).以上, 心房細動発症早期の脳梗塞合併が多い事が示唆され, 早期の注意深い観察が必要であると思われた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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