脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
脳動脈瘤 : 術後のMRI所見
松村 憲一松田 昌之半田 譲二木戸岡 実藤堂 義郎
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 12 巻 2 号 p. 130-138

詳細
抄録

MRIは, 微細な病変や詳細な解剖学的構築の描出に優れている反面, 金属類を使用している症例では, 強力な磁場におけるその可動性や加熱効果が問題となる.我々は, 非磁性体であるSugitaのクリップを用いてネッククリッピングを行った患者を中心に, 脳動脈瘤32症例で術後のMRIを施行し, その所見, 診断上の有用性について検討した.1) MRI上のmetal artifactは, 楕円形のsignal voidとring状の高信号域を呈し, その領域はCTに比し有意に小さく限局していた.2) MRIは, 脳梗塞, 脳内出血などの合併病変の描出により優れていた.3) 脳血管攣縮による虚血部位はMRIでより明瞭に見られたが, その広がりと検出率はCTと変わらなかった.しかし, 術後のMRIでは, 深部白質や基底核の小梗塞巣の数が増加しており, 脳血管攣縮による循環障害の関与が推測された.4) クモ膜下出血の信号強度の経時的変化に一定の所見は得られず, 今後の検索が必要と思われた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top