脳卒中
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もやもや病に全身性進行性硬化症を合併した1例
服部 達明新川 修司大熊 晟夫竹中 勝信出口 一樹
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1990 年 12 巻 5 号 p. 436-442

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抄録

症例は54歳女性.1987年6月突然の頭痛・嘔吐で発症した.CTにてくも膜下出血, 脳血管撮影では両側内頸動脈末端部における閉塞と脳底部のもやもや血管を認めた.保存的治療で症状は軽快したが, 次第に両手指のしびれ感・痛みを訴え, レイノー現象や爪の変色, 朝の手のこわばりが出現した.舌小帯の短縮肥厚や爪上皮の延長, 腰部の色素沈着もみられた.指尖容積脈波では冷水負荷により脈波の平低化の所見が観察され, 前腕伸側の皮膚生検では真皮や汗腺は萎縮し脂肪細胞には変性萎縮がみられ, 膠原線維は萎縮・狭小化しており, 全身性進行性硬化症 (PSS) の萎縮期の像であった.自己免疫抗体の検索では陰性であった.もやもや病の成因は未だ不明であるが, 免疫学的機序による血管炎の関与の可能性が推測されている.もやもや病にPSSが合併した症例は今まで報告されておらず, もやもや病の成因として免疫学的機序の関与の可能性を示唆する興味深い症例と思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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