1991 年 13 巻 2 号 p. 107-113
発症5日目及び8日目の亜急性期に血栓内膜切除術を施行し, 良好の予後を得た頚部内頚動脈完全閉塞2症例につき報告した.
症例1は67歳男性, 右片麻痺と運動性失語を示す, progressivestrokeで発症した.血管撮影にて左内頚動脈の完全閉塞と, 対側より前交通動脈を介しての側副血行を認めた.発症8日目に血栓内膜切除術を施行し, 血行再開に成功し術後症状の改善を認めた.
症例2は68歳男性, 左片麻痺と構音障害を示すprogressivestrokeで発症した.来院時の血管撮影では右内頚動脈の完全閉塞と, 同側の後交通動脈を介した側副血行を認めた.保存的加療にて症状改善せず, 血栓内膜切除術を施行し再開通に成功, 術後症状の改善を認めた.
頚部内頚動脈完全閉塞例に対する急性期または亜急性期の血栓内膜切除術の意義および適応について考察を加えた.