抄録
脳出血64例 (年齢59.6±10.2歳, 男39例, 女25例) を対象に, 高磁場MRIにて検出される点状虚血性病変の合併頻度およびその分布を検討した.T2強調画像で高信号域, T1強調像で低ないし等信号域を呈するものを “虚血性病変” (直径1.5cm未満) と定義した.結果の要点は次の通りである. (1) 虚血性病変は64例中48例 (75%) と高率に合併した. (2) 出血部位別の合併率は視床出血が100%, 被殼出血が78%, 皮質下出血が33%と出血部位による差が認められた. (3) 被殼出血と視床出血では虚血性病変の分布に差があった. (4) 虚血性病変に対応する臨床症候を呈したものは10%にとどまった. (5) 虚血性病変数と脳卒中危険因子, 年齢, 性についての多変量解析では, 高血圧との有意の相関が認められた.
以上より, 脳出血, とくに視床出血では高血圧を基盤とした潜在性の “虚血性病変” が高率に合併し, その存在は降圧療法における至適血圧の設定の困難さを示している.