脳卒中
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高齢者超急性期中大脳動脈塞栓症に対するtissue plasminogen activator静注, heparin併用療法の検討
濱本 真長尾 毅彦神田 明美宮崎 徳蔵赫 彰郎
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1993 年 15 巻 3 号 p. 196-200

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抄録
高齢者中大脳動脈塞栓症の超急性期における組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA) 静注, ヘパリン併用療法を検討した.対象は突発発症で明らかな半球症状を呈し, SPECTにて中大脳動脈領域全体の血流障害を認めた25例で, このうち発症2時間以内に来院し, 頭部CT上所見を認めない8例 (平均年齢81.4歳) に対しt-PA2,000万単位を投与, その後持続的にヘパリンを7日間投与し, 治療群とした.発症2時間以降6時間以内に来院した17例 (平均年齢78.2歳) を対照群として検討した.治療群では対照群に比し有意の神経症状の改善を認め, 視覚的なSPECT像上の血流改善と相関していた.出血性梗塞の合併は治療群で有意に少なかった.死亡率を含め予後も有意の改善を認めた.高齢者中大脳動脈急性閉塞症の予後は不良であり, この療法により予後が改善される可能性を認め, 今後の検討が必要と考えた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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