脳卒中
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脳血管障害の治療と予後に関する多施設共同研究
第4報橋出血
後藤 文男福内 靖男
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1993 年 15 巻 4 号 p. 310-316

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抄録
昭和59年から昭和63年までの5年間に11施設 (慶應義塾大学神経内科およびその関連病院) に発症24時間以内に入院し, CTスキャンを施行し得た橋出血133例 (男性84例, 女性49例, 平均年齢58±12 (mean±SD) を対象とした.
これらの患者のうち内科的治療を行ったのは130例で, 外科的治療を受けたのは3例のみであった.入院時神経学的重症度 (NG), 血腫の最大径, 血腫量, 脳室穿破の有無, 血腫の中脳への進展の有無と退院時予後の関係を検討した.NG分類, 予後は日本脳卒中外科研究会の分類に準じた.その結果は, (1) 意識障害がないか軽度の症例では生命予後, 機能予後ともに良好な症例が存在した.意識は半昏睡, 昏睡の症例は生命予後, 機能予後ともに不良であった. (2) 血腫の最大径が2.0cm以下の症例は予後良好な症例もみられたが, 2.1cm以上では死亡率は増加し自立生活可能な症例はみられなかった. (3) 血腫量は5ml以下では予後良好な症例もみられたが, 5.1ml以上では予後不良であった. (4) 第IV脳室穿破の認められる症例, 血腫が中脳へ進展している症例は予後不良であった.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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