脳卒中
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垂直性眼球運動障害と陥没眼振を認めた中脳梗塞の1例
北川 美恵杉原 浩米山 公啓清水 亨加藤 功
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1993 年 15 巻 5 号 p. 380-385

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抄録
症例は62歳, 男性.冠動脈造影施行中に脳梗塞を発症.神経学的に顔面を含む右片麻痺があり, 正面視にて右眼の外転位, 上方注視に比べ下方注視に強い障害, また下方注視しようとする際に陥没眼振を認めた.しかし人形の目現象は正常であった.両側冷水同時注入のカロリックテストは仰臥位で上向きの眼振が解発されたが腹臥位では振子様眼振を認めた.ベル現象は正常であった.頭部MRI上, 両側のrostral interstitial nucleus of MLF (riMLF) を含む中脳傍正中部に梗塞巣を認めた.垂直性眼球運動障害の責任病巣は両側のriMLFが考えられ, 上方注視より下方注視の障害が強かったことより, riMLFの背外側に比べ尾内側の障害が強いことが推測された.脳梗塞による垂直性眼球運動障害の神経耳科学的検査を検討した報告は少なく貴重な症例と考え報告した.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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