脳卒中
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中大脳動脈と後大脳動脈領域の脳血管障害による半側空間無視の比較
飯島 献一小林 祥泰須山 信夫山下 一也山口 修平
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1994 年 16 巻 5 号 p. 348-353

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抄録
半側空間無視は劣位半球の頭頂, 後頭, 側頭葉接合部の障害で生ずることが最も多い.しかし, 後大脳動脈領域の障害でも生ずることがある.そこで中大脳動脈領域 (MCA群) 12例と後大脳動脈領域 (PCA群) 4例の半側空間無視の特徴を比較検討した.半側無視を呈する病巣はMCA群が頭頂, 後頭, 側頭葉接合部に集中しており, PCA群は後頭葉内側面あるいは側頭葉内側面であった.MCA群は半盲の自覚がなく, 消去現象を高率に認め, 無視の持続時間が長い傾向を示した.PCA群は半盲を自覚し, 消去現象を認めず, 無視の回復も良好であった.PCA群は全例地誌的失見当を伴っていたことより, 後海馬傍回から舌状回にかけての病巣, あるいは下頭頂小葉との線維連絡の障害により無視を呈した可能性が考えられた.以上よりMCA群とPCA群の半側空間無視の病巣は異なっており, その発症機序も異なる可能性が考えられた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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