脳卒中
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無症候性脳梗塞の短期的予後
画像変化, 危険因子, 認知機能について
福井 俊哉杉田 幸二郎長谷川 幸祐市川 博雄
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1995 年 17 巻 3 号 p. 232-240

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抄録

無症候性脳梗塞 (SCI) 43例の2年間の予後, SCI病変の増加に関与する危険因子, 認知機能の変化を検討した.くも膜下出血が1例に生じたが, 症候牲脳梗塞は発症しなかった.追跡可能であった32例から以下の点が示唆された. (1) SCI増加は側脳室周囲に多く, 脳後部に多い. (2) SCI増加に関与する因子は, a.脳室周囲病変;初回総合高信号指数, b.白質病変;追跡期間, c.基底核病変;抗血小板 (Plt) 薬の使用, d.テント下病変;年齢, 心電図異常, e.総合高信号病変;抗Plt薬の使用, 年齢, 追跡期間であった. (3) 抗Plt薬を服用することがSCI増加に関与するという結果は, 同薬が脳梗塞一般の危険因子を数多く有する症例に投与される傾向の反映である可能性が高い. (4) 一般に認知機能低下は認められなかったが, SCI増加群でレーブン色彩マトリシスの有意な成績低下がみられたことより, SCI増加に伴い他の認知検査も低下する可能性は否定できない.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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