脳卒中
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一過性脳虚血砂ネズミの海馬錐体ニューロンのDNA断片化についてTUNEL法による検討
有光 誠人栗坂 昌宏美馬 達夫森 惟明
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1995 年 17 巻 3 号 p. 241-246

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抄録

砂ネズミに5分間の一過性前脳虚血を負荷した場合, 海馬CA1領域の錐体ニューロンは数日後に形態学的な細胞死に陥る.この変化は遅発性神経細胞死として知られているが, 近年この病態にアポトーシスが関与しているという報告が見られ, アガロース電気泳動法による検討で, DNAの1addering formationが指摘されている.本研究では, 砂ネズミの前脳虚庇5分間負荷モデルを作成しTUNEL法 (terminal deoxynucleotidyl transferase (TdT) -mediated dUTP-biotin nick end labeling) によりDNA3'-OH末端のin situ end-labeling (ISEL) を行い, 錐体ニューロンのDNA断片化を同定し, 海馬CA1領域における遅発性神経細胞死とアポトーシスとの関連について検討した.海馬CA1領域の錐体ニューロンの核は再灌流後48時間までは染色されず, 72時間後より染色され始め, 観察した7日後まで続いた.この結果は, これまで報告されてきたアガロース電気泳動法の解析で判明したDNAの 1adderingformationの始まる時期にほぼ一致していた.TUNEL法によるDNA断片化の検出は遅発性神経細胞死におけるDNA laddering formationのindexとして使用可能であり, 本研究の結果は, 遅発性神経細胞死にアポトーシスが少なくとも部分的に関与していることを示唆している.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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