脳卒中
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一過性脳虚血発作の成因についての臨床的検討
脳血管撮影およびCT/MRIによる検討
栗山 長門山本 康正大岩 海陽里井 斉中島 健二
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1995 年 17 巻 3 号 p. 260-265

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抄録
一過性脳虚血発作 (TIA) の病態をより明らかにするため, 内頸動脈系TIA45例 (心原性塞栓を除外) について, 脳血管撮影所見とCT・MRI所見とを併せ検討した.主幹動脈に25%以上狭窄を有するもの {angiographically abnormal, 以下AGA (+)} が26例, 狭窄がそれ以下ないし正常のもの {AGA (-)} が19例であった.AGA (+) で9例 (34.6%), AGA (-) で16例 (84.2%) にCT・MRIで小梗塞 (基底核領域/皮質下白質) を認め, その差は有意であった (P<0.001).これらのことから, TIA発作は, AGA (+) では主にmicroembolismの機序が, AGA (-) では穿通枝レベルでの虚血が関与している可能性が考えられた.AGA (+) とAGA (-) で, 発作回数, 発作持続時間に有意差は認めなかった.また, 高血圧, 糖尿病, 高脂血症, Hctなどの危険因子についても差がみられなかった.これらを追跡したところ (平均追跡期間5.0±2.4年, 全例追跡可), 7例が脳梗塞を発症し, 高齢で発生率が高い傾向にあった.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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