脳卒中
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進行型脳梗塞を来した真性多血症の1例
橋本 洋一郎山中 信和木村 和美米原 敏郎内野 誠
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1996 年 18 巻 1 号 p. 65-69

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抄録
瀉血療法が無効で3カ月にわたる進行型脳梗塞を来した真性多血症の59歳男性を報告した.3年前より多血症が指摘されていた.左手のしびれと脱力が出現し脳梗塞と診断され, 瀉血療法や抗血小板療法で治療がなされたが無効で, 緩徐に進行し意識障害, 四肢麻痺と全失語を呈した.X線CTでも両側テント上に梗塞が拡大した.アルキル化剤の投与により多血症や血小板増多症の改善とともに症候は安定し, 脳血管造影で左中大脳動脈M2の閉塞を認めた.真性多血症, 高齢, 頻回の瀉血療法, 高血圧や糖尿病, 化学療法開始の遅れなどが進行型脳梗塞の要因と考えられた.真性多血症患者が脳梗塞を発症し潟血が無効の場合は, 早期に化学療法を行う必要がある.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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