脳卒中
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無症候性脳梗塞患者の長期予後
延原 幸嗣西丸 雄也
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1996 年 18 巻 4 号 p. 302-309

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抄録

1983年1月より89年4月まで撮影した頭部CTで中枢神経系大病変を有しない連続3,006例中, ラクナを認め, 少なくとも3カ月以上生存した279例を対象とし, CT撮影時に脳梗塞の既往あるいは症候の無いものを無症候群, 有るものを脳梗塞群と分類, その予後を比較検討した.解析対象は267例 (追跡率95.7%) であり, 無症候群143例, 脳梗塞群124例で各々の追跡期間は53.3±31.3カ月と61.2±29.5カ月であった.追跡中の脳血管障害の発症は無症候群で脳梗塞9例, 脳出血2例の計11例 (年間発症率1.73%) であり脳梗塞群で脳梗塞10例, 脳出血6例の計16例 (年間発症率2.53%) と無症候群は脳梗塞群より脳血管障害の発症は少ない傾向があった.さらに無症候群のうち, 高血圧などの一般的な血管性危険因子を持たない群 (40例) では脳血管障害の発症はなく, 危険因子を有する群 (80例) では10例 (年間発症率2.78%) と脳梗塞群とほぼ同等の発症を認めた.また死亡例は両群間で脳, 心血管死も含めその死因に差はなかった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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