抄録
脱血による血圧下降時の脳内各部位の脳循環自動調節能を, サルにおいてstable Xe-CT法を用いて比較検討した.対象は日本ザル10匹である.血圧下降前後における脳内各部位の脳血流 (CBF) を測定した.血圧下降前における各部位の脳血流は, 大脳基底核部90.8±41.2, 大脳皮質96.8±35.1, 大脳白質56.6±21.1, 小脳半球50.0±19.3ml/100g brain/min (mean±SD) であった.脱血による血圧下降時の脳血流の維持状態を, 脳内各部位の平均自動調節能指数 (MAI), すなわち正常血圧時 [平均動脈血圧 (MABP) 90mmHgから130mmHg] におけるCBFの平均値からMABP50mmHgにおけるCBFを減じた値を, 更に正常血圧時におけるCBFの平均値で除したもので表現した.その結果, 脳内各部位において, 脳循環自動調節能には, 有意な差は認められなかった.