脳卒中
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SEPとサーモグラフィーによる視床出血の神経症候の評価
趙 桂萍長坂 光泰清水 庸夫
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1997 年 19 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

視床出血患者32症例の神経症状, CT上の血腫の部位および大きさ, SEP, サーモグラフィーとの関連を検討した.神経症状はしびれ (21例), 冷感 (8例), 熱感 (3例), 疼痛 (4例) 等の自覚的感覚障害と表在感覚低下 (19例), 深部感覚低下 (14例), 半身麻痺 (25例) などであった.CT上, 視床出血を外側核型 (21症例), 内側核型 (4症例), 混合型 (7症例) の3型に分類した.SEPの異常は63%で, 自覚的感覚障害との関連ではしびれ (76%), 冷感 (75%), 熱感 (67%), 疼痛 (50%) の順に異常を呈した.また, 重度表在感覚低下の82%, 重度深部感覚低下の86%, 外側核型の67%にSEPの異常があり, とくに波形の消失が高率であった.サーモグラムは66%に患側の高温または低温の体表温異常を認め, しびれ感の67%, 運動麻痺の72%, 冷感の75%, 熱感の67%に異常を認めた.冷感や熱感を有する症例ではサーモグラム上でも同じ傾向を示した.またSEPと同様に, 重度表在感覚低下例の82%と, 重度深部感覚低下例全例でサーモグラムに異常がみられた.SEPの異常とサーモグラムの異常の併存は41%で, 外側核型に多くみられた.視床出血のCT分類は残存する神経症候に有用であり, SEPな重度他覚的感覚障害の評価に役立ち, サーモグラフィーは重度自覚的と他覚的感覚障害の評価に有用と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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