脳卒中
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脳血管障害急性期における血漿ドパミンの臨床的意義
山元 敏正島津 邦男田村 直俊入野 誠郎濱口 勝彦
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1997 年 19 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

脳血管障害急性期において, 血漿ドパミン (DA) が交感神経機能を反映するか否かを検討し, さらに血漿DAと意識レベルおよび生命予後との関連も検討した.脳出血12例 (74±11歳 : mean±SD) と脳梗塞18例 (63±9歳) を対象として, 血漿DAとノルエピネフリン (NE) を測定し, 各々にage-matchしたコントロール25例 (71±7歳), 36例 (67±10歳) の成績と比較した.血漿DAは脳出血・脳梗塞群ともに対照群に比し有意に高値 (p<0.005, p<0.05) で, NEとの間に正相関を認めた (各々p<0.0001), また脳出血のDA値は, 意識障害軽症群 (清明~傾眠) と重症群 (昏迷~昏睡) の両群で差はなかったが, 脳梗塞では後者が前者に比し有意に高値であった (p<0.005).脳出血のDA値は死亡群と生存群の間で差を認めなかったが, 脳梗塞では前者が後者に比し有意に大であった (p<0.01).以上の成績から, 脳梗塞急性期に上昇した血漿DAは交感神経機能亢進を反映し, 脳血管障害の重症度や予後推定に寄与すると考える.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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