抄録
同時期に多発発生した脳内出血例の臨床像と病態について自験例8例, 既報告65例の計73例で検討した.「同時期多発発生脳内出血」を病歴から推測される初回脳内出血発生24時間以内に施行された頭部CTにて二つ以上の脳内出血が確認されたものと定義し, 各症例における発生時年齢, 性別, 発生時意識レベル, 発生直後血圧, 血腫発生部位, 血腫最大径, 脳室周囲白質病変, 基礎疾患および嗜好, 治療, 転帰, 剖検所見につきそれぞれ検討した.その結果, 従来の知見ではみられなかった以下の2点の見直しが必要と考えられた.1) CT・MRI上, 脳室周囲の白質病変を80%に認め, leukoaraiosisも同時期多発発生脳内出血の病態に関与すると考えられた.2) 臨床的には74%が高血圧性脳内出血と考えられ, amyloid angiopathyが原因と考えられた症例は少なかった.