抄録
橋深部小梗塞の成因について,拡散強調画像(DWI)を用いて検討した.DWIで橋部に限局して急性脳虚血病巣を認めた26例について,橋底部腹側縁に接するもの(1群)と接しないもの(2群)に群分けし,さらに単発性か多発性かに細分類した.1群は15例(単発14例,多発1例),2群は10例(単発5例,多発5例)あり,後者に多発例が有意に多かった.その背景因子として,MRAによる血管病変の有無を比較したところ,単発例が圧倒的に多い1群では糖尿病を合併し,主幹動脈の有意狭窄性病変例が多く,かつ神経症候増悪例が多かった.その発症機序は主幹動脈狭窄,あるいはbranch atheromatous disease(BAD)による血栓性機序が考えられた.一方,2群は半数に多発例があり,その機序としては大循環系ないし主幹動脈の有意狭窄性病変由来の塞栓性機序が疑われた.2群には高血圧性小血管病変による血栓性機序と,塞栓性機序の関与が示唆された.橋部梗塞は梗塞部位によって発症機序が異なることが考えられ,治療あるいは再発予防上重要である.