脳卒中
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虚血性脳血管障害におけるAntithrombin IIIの意義
山口 修平小林 祥泰恒松 徳五郎
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1983 年 5 巻 2 号 p. 111-116

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抄録

虚血性脳血管障害患者76例においてantithrombin III (AT III) の変動と, それに対するurokinase と aspirin投与の影響を検討した.
年代別, 性別検討では, 正常群に比し69歳以下の男性で低下傾向を認め, 女性では全年齢で高値を示した.また65歳以下では男性が女性に比し低値を示したが, 70歳以上では差は認められなかった.病型別検討では, 脳血栓に比し脳塞栓の方が低値を示す傾向を認めた.病期別検討では, 発症後6ヵ月以後にやや高値を示したが, 各病期間に有意差を認めなかった.一方薬剤投与の影響に関しては, urokinase投与によりAT IIIは低下するのに対し, aspirin投与によりAT IIIは有意の増加を示した.そして, 発症後早期 (1ヵ月以内) に投与する程, またATIIIが低値を示す例程増加の程度は大きいことが認められた.
以上のことより, AT IIIは虚血性脳血管障害の病因と関連し, さらに治療上有用な指標の一つとなると思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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