脳卒中
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脳血管の自律神経支配に関する研究
一側上頚神経節摘出の脳血管壁自律神経終末に及ぼす影響について
鈴木 則宏後藤 文男厚東 篤生森田 陽子千田 龍吉
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1983 年 5 巻 2 号 p. 99-110

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抄録

脳血管壁に分布する自律神経と上頚神経節との関連を明らかにする目的で同神経節摘出後の中大脳動脈 (MCA) 及び椎骨動脈 (VA) 壁神経終末の電顕像を定量的に検討した.【方法】ネコ5匹を用い一側上頚神経節摘出3週後に5-hydroxydoparnineを静注し15分後にglutaraldehydeにて灌流固定し, 両側MCA起始部及びVA (PICA分岐部) より切片を作成し, これら4本の血管壁に含まれる神経終末内のadrenergic及びnon-adrenergic vesicleの最大径を画像解析装置 (Luzex 500) にて測定した.対照群 (sham operation) 4匹についても同様に標本を作成した.【結果】MCA : 摘出側adrenergic vesicle (98.44±0.69nm, n=500) (M±SEM) は対側 (80.00±0.62nm, n=500) 及び対照 (82.25±0.78nm, n=400) に比し有意に大であり (p<0.001), 摘出側non-adrenergic vesicle (55.56±0.41nm, n=500) も対側 (49.96±0.46nm, n=500) 及び対照 (51.83±0.48nm, n=400) に比し有意に大であった (p<0.001).VA : 摘出側adrenergic vesicle (86.33±0.95nm, n=500) は対側 (82.50±0.83nm, n=500) 及び対照 (82.24±0.87nm, n=400) に比し有意に大であり (p<0.005), i摘出側non-adrenergicvesicle (49.98±0.52nm, n=500) は対側 (52.50±0.39nm, n=500) 及び対照 (54.65±0.52nm, n=400) に比し有意に小であった (p<0.001).【結論】上頚神経節摘出はMCAでは同側のadenergicvesicleのみならず同側non-adrenergic vesicleの大きさに影響を及ぼした.一方VAでも同様の影響があったがその程度は軽度であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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