脳卒中
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脳動脈瘤術後精神症状に対する高気圧酸素療法
北岡 憲一中川 翼阿部 弘佐藤 正治岩隈 勉
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1984 年 6 巻 2 号 p. 230-237

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抄録
脳動脈瘤術後精神症状を有する49例に対して慢性期に高気圧酸素療法を応用した. (1) OHPの急性効果は著効と中等度改善を合わせて49例中26例 (53%) で, 症状不変は8例 (16%) でOHPの有効性は高かった. (2) OHPの効果は症状の重篤度に左右されておりOHP開始前の症状が軽い程OHPの効果が認められた. (3) 脳動脈瘤部位別では内頚動脈瘤, 中大脳動脈瘤で症状の重篤な例でもOHPにより症状が改善する事が多かった. (4) OHPが有効であった症状は自発性欠如や見当識障害であり, 無効なのは無動性無言症であった. (5) 精神症状が判明した早期よりOHPを開始した例が急性効果が認められ, OHP開始まで3ヵ月以上経てしまった例は効果はほとんど期待できなかった. (6) 自然歴例とOHP例とで症状の遠隔成績を比較すると術後中等度以上の重度精神症状が認められた例ではOHP例の方が成績が優れていた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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